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2007.03.28 Wednesday

キャノン偽装請負解消で3500人直接雇用へ!請負契約と派遣契約の違い

キヤノンは25日、国内のグループ企業19社の製造部門で働く派遣労働者や請負労働者のうち計3500人を、2007、08年度の2年間に正社員などとして直接雇用する方針を明らかにした。
私も以前、工場で総務を担当していたが、契約する側として請負契約か派遣契約かをあまり意識していなかった。もっとも、工場(製造業)で労働者派遣が解禁されたのは2004年3月からなので、それ以前はすべて請負契約だったのだが、実質は派遣契約と違いはなかった。
ここで、おさらいの意味で請負契約と派遣契約の違いをおさらいしてみる。
〔労働者派遣〕
自己の雇用する労働者を、その雇用関係を維持しつつ、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働に従事させること。(労働者派遣法)

ちょっと分かりにくいので派遣を受ける側から言い換えると、「派遣会社の派遣社員を受け入れ、自社の指揮命令で業務を行わせること」
雇用関係は派遣元と労働者の間にあり、指揮命令関係は派遣先と労働者の間にあることになる。

〔請負契約・業務委託契約〕
請負契約は、仕事を完成させることを約束し、仕事の結果に対して報酬をもらう契約で(民法632条)、業務委託契約は、法律行為以外の事務を行うことを受諾した者が自分の責任・管理のもとで、その事務の処理を行うことを約束する契約です(民法656条)。
つまり、請負契約は仕事の完成が、業務委託契約はまかされた事務の処理が目的となっているわけですから、労働契約とは異なり、労務の提供そのものは目的とはなりません。

それでは、偽装請負とは?
前述しましたように製造業においては従来、工場のあるラインもしくは部署の運営を請負業者に任せる請負契約が多くありました。請負業者が請負業者の社員を指揮命令して請負業務を行う場合には適法ですが、実際は請負とは名ばかりで工場側で請負業者の社員を指揮命令して業務を行わせるやり方が多く見受けられました。これが偽装請負です。

職業安定法第44条は、許可を受けた場合を除き、労働者供給事業を禁止しています。請負契約のもと、実質は労働者供給事業とみなされる訳です。
また、厚生労働大臣の許可を受けた人材派遣は、労働者派遣法で認められています(製造業においては2004年3月から)。しかし、許可のいらない請負という形をとって、実態としては、許可のいる人材派遣を行っている場合があります。これは、労働者派遣法に抵触する違法行為となります。

製造業においては世界競争の中で厳しいコスト競争が行われています。
そのため、生産に合わせた人員を確保しやすく、労働法のしばりがない、派遣社員や請負という方法をとるようになったと思います。
働く場そのものがなくなってしまったら、元も子もありません。
雇用の調整弁としての人材派遣を法に則った形で利用すべきです。

労働者派遣法と労務管理について詳しく知りたい方は
労働者派遣法のしくみと労務管理