パートタイマーに適用される就業規則
最近、担当する業務でパートタイマーに適用される就業規則を見せて頂く機会が多く、不備な事業所が意外と多いのに驚かされます。
不備なパターンとして大きく二つに分けられます。
どちらのパターンも労務管理上の不具合があるだけでなく、法令違反の可能性があります。
問題が表面化していないうちは良いのですが、従業員から労働基準監督署等に相談されたり、或いは訴えられたりした場合には、企業にとって大きな打撃となります。
貴事業所の就業規則は大丈夫でしょうか?
もう一度、確認されては如何でしょうか?
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不備なパターンとして大きく二つに分けられます。
A.パートや契約社員などが存在するにもかかわらず、就業規則上、適用が除外されていない場合
B.就業規則上、パートや契約社員には就業規則が適用除外されているが、適用される就業規則が定められていない場合
どちらのパターンも労務管理上の不具合があるだけでなく、法令違反の可能性があります。
問題が表面化していないうちは良いのですが、従業員から労働基準監督署等に相談されたり、或いは訴えられたりした場合には、企業にとって大きな打撃となります。
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A.就業規則からパートタイマーが適用除外されていない場合
就業規則の冒頭部分に職員の定義が規定されています。
「この規定において社員とは、就業規則第○○条の規定に基づき採用されたものをいう。」など、社員・従業員を正社員やパートタイマー、契約社員などの待遇の違いなどで区分していない場合です。
この場合は、正職員とパートタイマーの待遇が同じであれば問題はありません。
しかし、例えば昇給の有無、賞与の有無、退職金の有無、休業の取扱い、慶弔休暇や慶弔金など、実態として異なる待遇であってもパートタイマーにもこの就業規則が適用されることになります。
労働条件通知書や雇用契約書において、労働条件が明示されている場合や明示されていない場合にはどういう取扱いとなるのでしょうか?
労働契約法において、以下のように規定されています。
1.労働契約において労働条件を詳細に定めていなかった場合
○労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合に、使用者が
(1)合理的な内容の就業規則を
(2)労働者に周知させていた(労働者がいつでも見られる状態にしていた)
場合には、就業規則で定めた労働条件が、労働者の労働条件になります。
(労働契約法:第7条本文)
→使用者が就業規則を机の中にしまっていて、労働者が見たくても見られない場合などは、労働者に周知されていませんので、その就業規則は労働者の労働条件にはなりません。
2.就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合
その合意していた内容が、労働者の労働条件になります。
(同:第7条ただし書)
ただし、労働者と使用者が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合には、労働者の労働条件は、就業規則の内容まで引き上がります。(同:第12条)
例えば、就業規則上は賞与を支給する規定があったとして、個々のパートタイマーとの労働契約(労働条件通知書等)に賞与は支給しないと明記していたとしても、事業主はそのパートタイマーにも賞与を支給する義務が生じます。
これが、長年勤めていたパートタイマーからの退職金の要求ともなれば、多大な金額となります。
B.パートに適用される就業規則が定められていない場合
就業規則の中の社員の定義の部分で
「期間契約社員及びパートタイマーにはこの規定は適用しない。」とあるが、別途パートタイマーに適用される就業規則が定められていない場合です。
この場合には労働基準法第89条の「就業規則の作成及び届出義務」違反となります。30万円以下の罰金となります。
また、助成金等の受給要件にも、就業規則に労働関係法令違反がある場合は、受給できない場合があります。
契約社員・パート・嘱託社員等が存在するにもかかわらず適用される就業規則が作成されていない場合は労関係法令違反の就業規則となります。
いずれの場合も、労働条件を明確にすることはパートタイマーであっても、重要なことなので、もう一度貴社の就業規則を見直してみてはいかがでしょうか?