社員が通勤途中に交通事故で入院!解雇できるのか?
顧問先の社長から問い合わせがありました。
社員が通勤途中に事故に遭い、そのまま、救急車で運ばれて入院したそうです。
幸い、命に別状はなかったそうですが、全治3ヶ月の重症。当然、仕事もできません。
あまり、大きな会社ではないので、人員に余裕もなく、本人には気の毒だけど、できれば、解雇したいとの相談です。
解雇できるのでしょうか?
社員が通勤途中に事故に遭い、そのまま、救急車で運ばれて入院したそうです。
幸い、命に別状はなかったそうですが、全治3ヶ月の重症。当然、仕事もできません。
あまり、大きな会社ではないので、人員に余裕もなく、本人には気の毒だけど、できれば、解雇したいとの相談です。
解雇できるのでしょうか?
人事担当者でしたら、まず、思い浮かぶのが労働基準法第十九条の解雇制限です。
「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間(省略)は、解雇してはならない。」という規定です。
この場合に問題となるのが、通勤が業務上にあたるかどうかです。
通勤途上の事故が労災の対象であることは誰でも知っているので、単純に業務上と思いがちですが、通勤途上の事故でも二通りあります。
まず、通勤の途中で使用者のために業務を行っていて事故に遭ったような場合や、外勤など業務と通勤の区別が困難な場合には、業務上通勤災害として、通常の労災としての保護が受けられます。つまり、労災保険上の各補償給付、解雇制限(労働基準法19条)、3日目までの使用者による直接の休業補償(同法76条)が受けられます。
次に、以上のような事情がない場合でも、労働者が、(1)「就業に関し」、(2)「住居と就業の場所との間を」、(3)「合理的な経路および方法により往復」していたと認定されれば、保護通勤災害として労災保険の給付が受けられます(労働者災害補償保険法7条1項2号、2項)。
この会社の社員の場合には、業務の性質がなく後者の保護通勤災害に当たり、労働基準法第19条の解雇制限は受けません。
次に問題となるのが、労働基準法第18条の2の解雇権の行使が権利濫用に該当するかの点ですが、本件は労働者が負傷したため、労務の提供が適切になされない場合であり、このような場合は使用者の解雇権の行使も客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当と考えられますので、権利濫用には該当しないものと考えられます。
さらに、労働基準法第19条の解雇の予告の問題であるが、これも本人の責に帰すべき事由であるので、即時解雇も可能です。但し、労働基準監督署への除外認定は必要です。
しかし、実際の問題として、法律上は即時解雇可能でも、心情的にはどうでしょうか?
普通、就業規則では休職という制度が設けられている。
「業務外の傷病による欠勤が1ヶ月以上に及ぶ場合には休職を命ずる」というような規定である。
さらに、勤務年数や役職により休職期間の長さが決められており、「休職期間が終了しても尚、復職できない場合には退職とする」というような退職規定につながる。
こういう自然な流れが心情的にも法的にも問題がないような気がしますが、いかがでしょうか。
顧問先の社長にはそのように、お答えしました。
「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間(省略)は、解雇してはならない。」という規定です。
この場合に問題となるのが、通勤が業務上にあたるかどうかです。
通勤途上の事故が労災の対象であることは誰でも知っているので、単純に業務上と思いがちですが、通勤途上の事故でも二通りあります。
まず、通勤の途中で使用者のために業務を行っていて事故に遭ったような場合や、外勤など業務と通勤の区別が困難な場合には、業務上通勤災害として、通常の労災としての保護が受けられます。つまり、労災保険上の各補償給付、解雇制限(労働基準法19条)、3日目までの使用者による直接の休業補償(同法76条)が受けられます。
次に、以上のような事情がない場合でも、労働者が、(1)「就業に関し」、(2)「住居と就業の場所との間を」、(3)「合理的な経路および方法により往復」していたと認定されれば、保護通勤災害として労災保険の給付が受けられます(労働者災害補償保険法7条1項2号、2項)。
この会社の社員の場合には、業務の性質がなく後者の保護通勤災害に当たり、労働基準法第19条の解雇制限は受けません。
次に問題となるのが、労働基準法第18条の2の解雇権の行使が権利濫用に該当するかの点ですが、本件は労働者が負傷したため、労務の提供が適切になされない場合であり、このような場合は使用者の解雇権の行使も客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当と考えられますので、権利濫用には該当しないものと考えられます。
さらに、労働基準法第19条の解雇の予告の問題であるが、これも本人の責に帰すべき事由であるので、即時解雇も可能です。但し、労働基準監督署への除外認定は必要です。
しかし、実際の問題として、法律上は即時解雇可能でも、心情的にはどうでしょうか?
普通、就業規則では休職という制度が設けられている。
「業務外の傷病による欠勤が1ヶ月以上に及ぶ場合には休職を命ずる」というような規定である。
さらに、勤務年数や役職により休職期間の長さが決められており、「休職期間が終了しても尚、復職できない場合には退職とする」というような退職規定につながる。
こういう自然な流れが心情的にも法的にも問題がないような気がしますが、いかがでしょうか。
顧問先の社長にはそのように、お答えしました。