2007.08.04 Saturday

フルキャストに事業停止命令:人材派遣の禁止業務

厚生労働省東京労働局は3日、人材派遣大手のフルキャストに対し、労働者派遣法に違反したとして、派遣事業停止命令および事業改善命令を出した。
労働者派遣法で禁止されている港湾での荷捌き業務に労働者を派遣したことが理由とのこと。
同労働局は「フルキャストは過去の違法派遣で指導中にもかかわらず繰り返した」と理由を説明している。

事業停止は全国316のすべての事業所が対象で、8月10日から1ヶ月間。実際に港湾への違法派遣を行った神戸市内の3支店は2ヶ月間の事業停止。

フルキャストの経営に重要な影響を及ぼすような違法行為とはどのようなものか、人材派遣の禁止業務とはどのようなものかを整理してみた。
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人材派遣はすべての業務に許されている訳ではありません。
派遣法が施工されてから平成11年までは一定の業務に限り許されていました。
これをポジティブリストといいます。
ちなみに、次の専門的26業務です。
 1号 ソフトウェア開発の業務
 2号 機械設計の業務            
 3号 放送機器等操作の業務   
 4号 放送番組等演出の業務   
 5号 事務用機器操作の業務
 6号 通訳、翻訳、速記の業務
 7号 秘書の業務
 8号 ファイリングの業務
 9号 調査の業務
10号 財務処理の業務
11号 貿易取引文書作成の業務
12号 デモンストレーションの業務
13号 添乗の業務
14号 建築物清掃の業務
15号 建築設備運転、点検、整備の業務
16号 案内・受付、駐車場管理等の業務
17号 研究開発の業務
18号 事業の実施体制の企画、立案の業務
19号 書籍等の製作・編集の業務
20号 広告デザインの業務
21号 インテリアコーディネーターの業務
22号 アナウンサーの業務
23号 OAインストラクションの業務
24号 テレマーケティングの営業の業務
25号 セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係の業務
26号 放送番組等における大道具・小道具の業務

これに対し、国内や国外(ILO等)から人材派遣の自由化の要求が高まり、それまでの「許された業務」から、一定の業務だけを禁止し、「原則自由化」へと方針転換された訳です。
この禁止業務を「ネガティブリスト」といいます。

1.港湾運送業務
2.建設業務
3.警備業務
4.医療関係の業務
  (商会予定派遣、社会福祉施設など一部を除く)
5.人事労務関係のうち、派遣先において団体交渉または労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
6.弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務
7.建築事務所の管理建築士など他の法令で禁止されている業務

フルキャストは直接的には港湾運送業務への人材派遣で業務停止された訳ですが、同社はこれまでも建設や警備に派遣を繰り返し、3月に業務改善命令を出されていたとのことです。
再三の改善命令にかかわらず、無視された格好の労働局が業を煮やしたということでしょう。

同じ人材派遣に関わる私としても、しかも、社労士という肩書きを持って営業している者として、あらためて、コンプライアンス(法令順守)を認識させられました。

人材派遣の飛び込み営業で回っていて、時々、社名から業務内容が分からず、「お宅は現場もできるのですか?」と聞かれたりします。
詳しく聞くと建設現場のことだったりします。
あいまいに答えず、きちんと説明できることが、かえって私の営業戦略となると思います。

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