2010.05.19 Wednesday

事業主行動計画の目標と対策の例1

「一般事業主行動計画」の策定・届出・公表・周知が平成23年4月1日より、常時雇用する労働者の数が100人以上の企業に義務付けられます。
前回までのブログ記事で一般事業主行動計画の策定方法について、紹介をしていますが、その具体的な目標と対策を今回紹介します。

厚生労働省や各県労働局のホームページでも一般事業主行動計画の目標例は掲載されていますが、目標と対策がちぐはぐで、却って混乱するような内容も見受けられます。

そこで、目標と対策を前回紹介した三つの視点に分けて、紹介します。
また、一般事業主行動計画策定・変更届の第三面に行動計画に対応する策定指針の事項に丸印をつけるようになっていますが、その行動計画策定指針の事項に対応する目標と対策としています。

一般事業主行動計画については、当ブログでも以前に紹介していますので、参照ください。
一般事業主行動計画の策定準備はお済みでしょうか?
一般事業主行動計画の具体的作成方法

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I.雇用環境の整備に関する事項

1.子育てを行う労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備
(1)妊産婦の労働者に対する配慮
ア.妊娠中や出産後の女性労働者の健康の確保について、労働者に対する制度の周知や情報提供及び相談体制の整備の実施
目標例1 妊娠中の女性労働者に対して企業が配慮する事項の周知を図る
対策1 母性健康管理についてのパンフレットを作成し、労働者へ配布する。
対策2 初任の管理監督者者研修において、母性保護、育児休業、休暇、時間外労働の制限などについて説明し、管理監督者の理解を深める。
目標例2 妊娠している人や子育てをしている労働者が会社の制度を利用しやすい雰囲気作りを行う。
対策1 母性健康管理についての管理者教育を行う。
対策2 妊娠中や産休復帰直後の女性労働者の相談窓口を設置する。
(2)子供が生まれる男性労働者に対する支援
イ.子どもが生まれる際の父親の休暇の取得の促進
目標例1 子どもが生まれる男性労働者の出産直後の休暇の取得を促進する
対策1 対策1 子どもが生まれる男性労働者に対し、2週間前に連続休暇取得の案内を行う。
目標例2 年次有給休暇とは別の子どもが生まれる男性労働者が取得できる休暇制度を整備する。
対策1 出産時の休暇についての社内ニーズの把握を行う。
対策2 配偶者出産時の休暇制度の検討
対策3 配偶者出産時の休暇制度の実施
(3)育児をしている労働者に対する支援
ウ.育児・介護休業法の育児休業制度を上回る期間、回数等の休業制度の実施
目標例1 子が2歳に達するまでの育児休業制度を導入する。
対策1 子が2歳に達するまでの育児休業制度の検討
対策2 子が2歳に達するまでの育児休業制度の実施
目標例2 育児休業を2回以上の分割して取得できる制度に変更
対策1 育児休業を2回以上に分関して取得した際の問題点の把握と対策の検討
対策2 育児休業規定の変更
対策3 配偶者出産時の休暇制度の実施
エ.育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備として次のいずれか一つ以上の措置の実施
(ア)男性の育児休業取得を促進するための措置の実施
目標例1 男性が育児休業を取得できること、企業として奨励することを周知させる
対策1 経営者が朝礼の場で男性の育児休業について奨励することを話をする
対策2 父親の育児参加、育児休業について書かれた書籍を購入し、労働者に貸し出す
対策3 男性が育児休業を取得しやすいように、男性の育児休業に関するリーフレット作成し配布する
対策4 3歳未満の子を養育する男性労働者を対象に、配偶者の働き方等にも配慮した育児休業や育児休暇の取得の参考例を紹介したパンフレットを作成し配布する
目標例2 ○月○日までに育児休業の取得状況を、男性は年に一人以上にする
対策1 社内報に男性の育児休業の奨励の記事を掲載する
(イ)労働者の育児休業中における待遇及び育児休業後の労働条件に関する事項についての周知
目標例1 労働者の育児休業中における待遇及び育児休業後の労働条件に関する事項についての周知
対策1 育児休業中及び復職後の処遇に関するパンフレットを労働者に配布し、制度の周知を図る
(ウ)育児休業期間中の代替え要員の確保や業務内容、業務体制の見直し
目標例1 育児休業中の代替要員確保を行う
対策1 代替要員確保のための結婚・出産退職者や定年退職者等の登録制度を設ける
目標例2 育児休業期間中の業務体制の見直しを行う
対策1 休業中でも業務に支障がでないよう、あらかじめ「副主任」制度を定める
対策2 複数業務ができるようにあらかじめジョブローテーションを行う
(エ)育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上のための情報提供
目標例1 育児休業取得後の円滑な職場復帰支援
対策1 育児期間中の労働者で希望する者を対象とする職場復帰のための講習会の実施
対策2 職場復帰前に休業期間中の会社状況の変化(システム上の変更など)に関して直属の上司が説明する
対策3 休業期間中のスキル低下防止のために、希望者にIT機器を貸し出す制度を導入する
目標例2 育児休業期間中の労働者への会社に関する情報提供
対策1 社内報を配布する
(オ)育児休業後における原職又は現職相当職への復帰のための業務内容や業務体制の見直し
目標例1 育児休業後における原職又は原職相当職への職場復帰ができるようにする
対策1 育児休業を取得した労働者が原則として原職に復帰できることを就業規則に記載する
対策2 育児休業期間中の業務分担の原則的なルールを決める
オ.子どもを育てる労働者が利用できる次のいずれか一つ以上の措置の実施
(ア)短時間勤務制度
目標例1 3歳未満の子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を導入する
対策1 労働者のニーズの把握
対策2 短時間勤務制度の導入
目標例2 小学校就学前の子を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を導入する
対策1 労働者のニーズの把握
対策2 短時間勤務制度の導入
(イ)フレックスタイム制度
目標例1 フレックスタイム制度を導入する
対策1 労働者のニーズの把握
対策2 フレックスタイム制度の導入
(ウ)始業・終業時刻を繰上げ又は繰下げる制度
目標例1 始業・終業時刻を繰上げ又は繰下げができる制度を導入する
対策1 労働者のニーズの把握
対策2 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ制度の導入
(エ)所定労働時間を超えて労働させない制度
目標例1 3歳未満の子を養育する労働者が利用できる所定外労働の免除制度を導入する
※常時100人未満の労働者を雇用する企業の場合
対策1 労働者のニーズの把握
対策2 所定外労働免除制度の導入
目標例2 小学校就学前の子を養育する労働者が利用できる所定外労働の免除制度を導入する
※常時100人以上の労働者を雇用する企業の場合
対策1 労働者のニーズの把握
対策2 所定外労働の免除制度の導入
カ.子どもを育てる労働者が利用できる事業所内託児施設の設置及び運営
目標例1 事業所内託児所の設置
対策1 事業所内託児所を設置した場合の希望者の把握
対策2 事業所内託児所の規模や運営方法の検討
目標例2

事業所内託児所の定員を増やす

対策1 事業所内託児所の保育士の増員
キ.子どもを育てる労働者が子育てのためのサービスを利用する際に要する費用の援助の措置の実施
目標例1 労働者がベビーシッターや延長保育料、病後児保育施設などを利用する場合の費用の援助制度の実施
対策1 制度利用の範囲と概算費用見積もり
対策2 費用援助制度の実施
目標例2 労働者がベビーシッターや延長保育料、病後児保育施設などを利用する場合の費用の援助制度を非正規労働者にも適用する
対策1 制度利用の範囲と概算費用見積もり
ク.労働者が子どもの看護のための休暇を取得できる制度の導入
目標例1 子の看護休暇を年○日までに日数を拡充する
対策1 急な休みに対応するための人員配置の見直しを行う
対策2 子の看護休暇の日数拡充の実施
ケ.希望する労働者に対する勤務地、担当業務の限定制度の実施
目標例1 子育てをしている労働者が希望する場合の勤務地、担当業務の限定制度の導入
対策1 子育てをしている労働者のニーズの把握
対策2 対象者等の範囲や手続きの検討
対策3 子育て勤務地等限定制度の導入
コ.子育てを行う労働者の社宅への入居に関する配慮、子育てのために必要な費用の貸付けの実施など子育てをしながら働く労働者に配慮した措置の実施
目標例1 社宅への入居を希望する場合に小学校以下の子どもがいる労働者を優先させることを制度化する
対策1 社宅利用規定の改定
目標例2 子どもの入学式や卒業式に参加するための休暇制度を導入する
対策1 詳細な運用ルールの検討
対策2 子育て行事参加のための休暇制度の導入
サ.育児・介護休業法に基づく育児休業や時間外労働・深夜業の制限、雇用保険法に基づく育児休業給付、労働基準法に基づく産前産後休業など諸制度の周知
目標例1 産前産後休暇や育児休業などの制度の周知を図る
対策1 産前産後休暇や育児休業などの制度に関するパンフレットを作成する
対策2 産前産後休暇や育児休業などの制度に関するパンフレットの配布
シ.出産や子育てによる退職者についての再雇用制度の実施
目標例1 出産や子育てによる退職者についての再雇用制度の実施
対策1  制度の概要の検討
対策2 出産や子育てによる退職者への制度案内の配布
その他

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